二輪車の価格
二輪車といえば、基本、趣味の乗り物。スクーター、カブ、原付二種といった実用バイクもあるけど、二輪車の市場が活況か否かを判断するのは、趣味の重量車の販売動向が重要である。
そんな自動二輪車の価格というか値付けを考えると、重量車が大量に売れるというのは、なかなか難しいのでは？というのが直感的な印象。
趣味の乗り物である、、、となると、その維持費、購入費が一般に何処から出るか？というと、それは購入者次第だけど、今の自動二輪市場を支えるオジサン世代を考えると、世帯所得がそこそこ在ったとしても、家計を預かっているのは、オジサン本人でない場合の方が多いような気もする。
オジサンの趣味の経費の出所は？といえば、オジサンの貯金した小遣いであったり、不定期な奥さんからの御褒美かな？という気がする。
そうなると、その予算で趣味を満足させる状況が作り出せるか？というと、そんなに簡単ではない、、、そんな印象である。
今の自動二輪車の購入者平均年齢は55歳に迫る状況。因みに、10年前は45歳であり、80年代に遡れば20代である。
つまり、単車に熱中しているのは同じ連中なのだ。この層が80年代の頃といえば、学生か独身社会人という状況。その状況で単車を購入するというと、学生バイト収入、給料をバイクにつぎ込んでローンを組んで買うというのが一般的なスタイルだったように思う。自身もそうだ。この層は80年代の高額なレプリカの登場に併せて、出費を重ねていったのが90年代前半迄。
因みに、レプリカブームの衰退は高額なバイクへの継続的な投資に疲れたという説もあるけど、考えてみれば、その世代が90年代に差し掛かった時は、皆社会人になって大人の生活を始めなければならない時期でもあるのだ。結婚資金、独立資金、、、、つまり、単車に回す予算が確保出来なかったと考える方が自然とも言えるのだ。
そんな世代が97年頃の大型二輪免許の教習解禁の頃に、若かき頃の夢の実現ではないけど大型二輪免許を取って重量車ブームが小さく盛り上がったけど、その頃、その世代の年齢は30代後半であり、子育てが本格化する直前である。それ故に、その時点で免許取得を決心する程の熱さが、重量車を何とか購入する事が出来たのだろう。この頃の単車の価格といえば、重量車であっても最新型の最高価格帯でも100万円程度。中古車であれば30万円台から選べるものであり、この層の自由になる予算で何とかなる時代だったとも言える。
しかし、2000年代以降になると、二輪車の価格は新車、中古車共に暴騰とも言えるような形で価格が上昇していく。価格高騰は売れる台数が減ったということもあるが、環境対応、安全対応のために、車両コストが高くなったのも理由だろう。中古市場では、ビンテージモデルの高騰が急激に進んでいく。因みに、2000年代といえば、80年代レプリカ世代の多くは家庭を持ち、子育て、住宅ローン等で、非常に忙しく、生活費も安くない時代である。そんな時代において、二輪車を新たに手に入れるというのは、事実上不可能となっていったようにも思う。
2010年代に突入すると、子育ても一段落してきた層も出てきており趣味の単車に戻る人もいるかもしれないが、単車を趣味の対象として捉える場合、そのモデルの価格は新車であれば100万円台後半以上、下手すれば200、300万円台も当たり前という状況。
一方で、昔を懐かしんで、昔の中古車を考えるにしても、ビンテージブーム？、レトロブーム？、、、何か知らないけど、価格はアホみたいな価格に為っている。80年代のミドルマルチが200万円とか、それ以前の重量車が数百万円とか、そういうレベル。
趣味のバイクに数百万円といった金額を捻出出来る人というのは、決して多くは無い。
現代において、単車の価格は、趣味の範囲の予算を既に超えている、、、、そんな印象である。1980年代において重量車の価格は80万円前後だったはず。今は、それを大幅に超えている。拘りを持つユーザーが選ぶモデルとなると200万円を伺う状況である。さすがに200万円を趣味台として、、、やはり、簡単ではないような気がする。
バイクが趣味のモノである以上、それが一定以上のボリュームで売れるためには、価格というのはとても大切だろう。予算というのは人それぞれだけど、四輪のファミリーカー以上の値付けというのは、現実的に安くないというのが印象である。
個人的には、小遣いで買える価格といえば、今も昔と同じく80万円くらい迄、、、そんな気がする。
ただ、現実的に80万円台で抑えて単車を作ろうとすれば、重量車だとＳＶ６５０レベルとなる。
この価格帯で、魅力在るモデルがリリースされれば、もっと多くのユーザーが二輪車の世界に戻ってくるような気もする。ＳＶとかＭＴというのは、そういう層を見越して開発されたものだろうけど、より多くの選択肢が登場する事を願っている。