スペックから見るバイクの選び方
カタログスペック、これは案外バイク選びに役に立つ。バイクのスペックは最高速度と実用域での加速力を表している。
スペックで代表的なものが最高出力。この最高出力は何を表すか？というと、バイクの持つ到達最高速度の能力指数みたいなもの。
最高速度に対しては重量は殆ど影響しない。最高速度というと、基本はエンジン出力と空気抵抗。空気抵抗なんぞは、相当な高速域でもない限りは殆ど一緒。重さなんて無視して構わない。
馬力が判れば最高速度が決まる。そんなもんである。バイクの売れ筋というと、今も昔も車検無しで高速道路走行可の軽二輪だけど、軽二輪は如何に時代が進んでも、動力性能自体に大きな変化は見られない。
今時のスポーツモデルといえば、水冷パラツインを積んだカウル付きスポーツ、CBR250RRだとかYZF-R25、Ninja250といった類。形は皆同じ。重量差は無視。エンジン出力は概ね35PS程度である。これなら、、、、概ね1980年代初頭の250ccスポーツと同じである。
現行モデルの最高速度、実測で160km/h前後だけど、遡る事、35年、VT250FCでも165km/h程度だ。少し時代を遡って1980年前後でZ250FTとかの30PS近辺のモデルの最高速度が155km/h程度である。一方で、VTより少し新しい水冷四気筒のレプリカ250ccモデルでは45PSだけど、この辺りで最高速度は175〜180km/h程度だ。公称45PSでも実測は上回っていたと言われる2ストレプリカモデルは35PS世代のRZ250こそ165km/h程度だけど、Γ、NS、KR世代になると185km/hレベル。実測で60PSに迫ると言われていた88世代のレプリカモデルだと190〜200km/hレベルだ。
因みに、色んなモデルで最高出力と最高速度で記憶していたものをピックアップすると公称43PS、Z400FXで170km/hに届かないくらい。公称70PS以下の80年代初頭以前の750ccで200km/h程度だ。公称59PS、実質は少し上回る程度の400ccのF3レプリカモデルで190km/hレベル。このように、最高速度は出力次第
結局、最高速度というのはエンジン出力に依存する訳だ。
35PS前後という出力では、概ね160km/hというのが上限なんだろう。45PSあれば180km/h、そして200km/hを現実とするには60PS辺りが必要ということ。レプリカ時代の2ストモデルの出力といえば55〜60PSと言われていたので、そんなもんだろう。重量車に目を向ければ70年代以前の750ccクラスは公称で68PS程度、実質は60PS程度だろうけど、その辺の最高速度も200km/h程度だ。200km/hオーバーを現実とするには、100PSがあれば230km/h、120PSで250km/h、150PSで270km/hくらいか？180PSで280km/h、200PSで300km/h弱、、、、そんな印象である。速度域が高くなる程、速度を上げるのに多くの出力が必要という傾向だ。
恐らく、重量は殆ど関係無い。最高速度＝出力という公式が成り立つ訳だ。
現実的に、一般道で楽しむ。高速道路を含め余力を考慮しても、現実的に200km/hも出れば十分。つまり出力最高値が70PS程度、その範囲で発生トルクが最大となるようなパッケージ、、、、これが一般道最強のパッケージという事が読みとれるように思える。
馬力で想定利用エリアが決まる。その中で加速性能、追い越し加速、発進加速といったファクターを望めば、兎に角トルクの絶対値の大きなモノが最強ということ。エンジンの守備範囲を望むならトルクカーブがフラットなものが最強ということになる。
例えば、70PS程度10kg･mトルクなんてパッケージは、実用上問題の無い速度をカバーして、その範囲で圧倒的にトルクフルということ。大きなトルクを高回転迄持続しない割り切りが低回転での大トルクになる。これは加速のフレキシビリティに非常に効果的ということ。
街乗りコミューターに限定すれば、150km/hも出れば十分であり、出力は35PS未満でOK、そしてこの範囲でトルク値が最大のモノを選べば、恐らく市街地最強となるわけだ。
スペックを読めば、何が実利的か？というのは結構容易に想像付くものである。
出力は実現可能な最高速度のファクター、それが実利用域と同じではパフォーマンスとしては不足気味。実利用域と上限の比率を如何ほどにすべきか？というと、使うギア比を考慮すると、大凡50％程度だろう。最高速度というのはトップギアのレブリミット近辺。しかし実用上はサードでパワーバンド手前位。となると、同じパワーを使っている速度域は上限速度の50〜60％程度。つまり、最高速度200km/hを可能とするようなモノであれば、美味しい速度域は100〜120km/h程度。100〜120km/hを上限で楽しむバイクなら、能力として200km/h級、馬力にして70PS級が程良いレベル。
一方で、高速道路でガンガン攻めるのが好きな人であれば、想定速度は200km/hなら、機械としての上限能力は280〜300km/h、出力で200PS級がフラストレーション無しで遊べる相棒となるということ。
綺麗事は置いておいて、自分で走る速度域を求め、その速度域の二倍の速度を能力として発揮出来るモノが相棒としてベスト。更に、その中で最も大きなトルクを発揮するモノが一番強力ということ。