やっぱり2ストローク！
さてさて、2009年以来16年ぶりのマグナム80再稼働に向けて、ワクワク感が止まらない！
AV50の退役決定、ナンバー返納後に、下駄バイクとしてマグナム80をチョイスしてエンジンが掛かるかどうか？をチェックし、簡単な整備の後に息を吹き替えたのだが、エンジンを掛けた後のエンジンの調子、一寸走った時のパワーフィール、、、それを感じて以来、ワクワクしっぱなし、、、、
この2ストロークエンジンってのは排気量に依らず気持ちを大きく高ぶらせるようだ。
ガンマも楽しいけど、マグナム80も楽しい。2ストロークエンジンってのは、エンジンのフィールが4ストロークエンジンとは明らかに異なっている。排気量僅か80ccのエンジンではあるが、エンジンの回転する感覚、アクセルを開けてからのレスポンス、パワーバンドに入ってから急激に増すレスポンスの鋭さ、そして、極低回転における不規則なアイドリングでムラのある排気音からパワーバンドに向けて連続的かつ弾けるような排気音への変化、これら全てが自分の感性にフィットする。
この感覚は、4ストロークエンジンでは感じ取れないもの。パワーが無く牧歌的なAV50でも、鼓動感溢れながら優れたレスポンスを発揮するSVとかCXでも、大らかながら溢れるトルクをまろやかに発揮するBTでも、滅茶苦茶スムーズかつ安定的に必要なパワーを素早く発揮するVFRでも、生き物のような2ストロークエンジンのように感性を刺激してこないのだ。速さではない。パワーフィールという部分である。
現代において新車で調達出来る2ストロークエンジンを搭載したバイクは殆ど絶滅している。ごく一部、コンペティブな世界とか、外国製の超マニアのための特別な存在なら選ぶ事が出来るかも知れないが、現実的な選択肢には入ってこない。
70〜90年代の2ストロークバイクを中古市場で見かける事も可能だけど、その値付けはバイクを楽しめるような値付けとなっていないのが現状。既に、法外なプレミア価格が上乗せされていて、気軽に乗れるような物となっていないのが現状だ。原付クラスでも50万オーバーが当たり前、250ccクラスになると100万円越えが普通で、ビッグ2ストになると300万円超えもちらほら、、、、そんな状況。そんな価格で買ったとしても、果たして維持し続ける事が出来るか？というと、甚だ疑問だ。
そう考えると、我が家のもう一台、AR125Sも暫くは飼っておこうと思う。今、2ストロークバイクを新たに手に入れるって、かなり厳しい感じ。
程度的にはマグナム80の方がAR125Sよりマシだけど、2ストロークを満喫するという条件に限れば個人的にはAR125Sの方が好きだったりする。このAR125Sは、前モデルがAR125というモデルでA1型が1983年に登場している。1983年といえば、GPZ250/400/750が登場した時で、タンクからテールカウル迄一体的に繋がったデザインが初採用された時。そのデザインの系譜に乗って生まれたのがAR125であり、ARシリーズの先駆けであるAR50/80とは異なるデザインで登場し、高校生だった自分の印象としては、デザインはAR50/80の方が好きで少し残念に思った記憶がある。
ただ、空冷ピストンリードバルブ式2ストロークエンジンであるAR50/80に対して、AR125は、その時の先行モデルであったRZ125を大きく凌ぐ最高出力22PSのエンジンを98kgの「軽量な車体に搭載、更に水冷2ストロークエンジンというだけでなく、1970年代後半からGPシーンを席巻していたKR250/350と同じロータリーディスクバルブ式2ストロークエンジンを搭載ということで、メカニズム的には強い印象を与えてくれたモデルでもある。当時はクランクケースリードバルブというタイプの2ストロークエンジンは存在しておらず、2ストロークエンジンで高い高回転性能を持つというとロータリーディスクバルブ式というのが基本的な考え方で、AR125はSP125クラスで一大勢力を誇っていたものである。因みに、AR125といえば、あのホンダワークスで長年活躍しえいた伊藤真一選手のデビュー前の愛車だったことも有名な話。そんなAR125だけど、SP125の世界ではTZR125が登場してからは実際はサッパリになって、以後、後継車が登場することなく消滅していったモデル。因みに、AR125はマイナーチェンジを繰り返し、1989年モデルが最終モデルではなかったかと思う。因みに、125ccクラスの2ストロークレプリカカテゴリーでは長くTZR125が覇権を保っていたけど、1991年頃、NF11FからNF13AとしてリニューアルされたRG125ガンマが登場してからは、ガンマがSP125の王者として君臨し続ける事となる。2st125ccの歴史を振り返ると、RZ125、AR125、MBX125F、RG125ガンマ(NF11F)、TZR125、RG125ガンマ(NF13A)という風に新しいモデルが登場している。TZR125以前が初期、以降が後期という印象。SP125はNF13A登場以来、それ一色。エンジンも強力になっているけど、何よりも車体が進化したのが大きい。TZR以前の原付に毛の生えた程度の車体と足回りに比較すると、NF13Aは接地面積の大きなハイグリップタイヤ、頑丈な車体とまともなサスペンションで、車重の重さのネガを補っても余りあるアドバンテージを得ていた。それ故に、サーキットパフォーマンスに限定すればNF13Aが絶対だろうけど、素人の一般道街乗りに限れば、TZR125以前のモデルの方が軽快で面白い。足回りの違いは大きいけど、実用性能で考えると、TZR以前のモデルの軽さは大きなアドバンテージがある。そう、NF13Aは重たいということ。重量的には兄貴分のRGV250ガンマとあまり変わらないし、車体も大きいのだ。TZR125以前のモデルは重量は100kg以下、パワーは一緒である。速くて当然といえるのだ。自身、マグナム80とAR125Sを比較して下駄バイクとしてマグナム80を選んだのは、逆を言えばパフォーマンス的にAR125Sは下駄バイクとしては性能過剰と考えたから。マグナム80では13PSで89kgだけど、AR125Sは22PSで約100kgだから。そんな高性能は要らないのである。
そして、再稼働準備中のマグナム80だけど、AR125Sに比べると重さも殆ど一緒で、馬力は大幅に少ない。それでも、エンジンを掛けてスロットルを捻れば、思わず笑みがこぼれるのである。この2ストロークの感性への刺激度合い、これは堪らない。最高である。改めて、2ストロークエンジンの楽しさに気付かされたのである。こんなおもちゃが最高に楽しいのだ。やっぱり、2ストロークは手放せない。4ストロークのV型エンジンも好きだけど、どっちが好きか？というと、、、、やっぱ、2ストロークだな。それも、、、水冷2ストロークだ。同じ2ストロークでも昔の空冷エンジンには、今のような印象は持ってない。最初に乗った2ストロークはTY50だけど、決して力強いってモンじゃない。それ以外、KH90、GP125、KH125も然り、力強いけど頭打ちが速くワクワクする感じではない。KH250もそうだ。ブィーンって吹け上がるけど、何かエンジンの中に粘っこい何かを引きずっている印象が否めない記憶しかないし、RD400SPも力強いけど頭打ちが速い印象の方が強い。空冷2ストの印象は力強いけど、何か違う、、、そんな印象なのだ。勿論、これらでもチャンバー交換するなりしたら本性が現れるのかもしれないけど、2ストの楽しさを実感したのは、水冷化されたモデルに乗ってから感じた物。2ストを好きになったのは、やっぱり水冷エンジン車を体験してからなのだ。だから、2ストロークが好きといっても、基本は水冷2ストロークなのだ。
完全に動かないのであれば、あきらめるかもしれないけど、2ストロークエンジン車ってのは、これから乗る事が出来ない、飼う事が出来ない可能性がドンドン高くなる。極力手元に置いて動かしてやりたい、、、そんな風に思う。
ガンマに跨るといつも最高に楽しいけど、まさかパワーも僅かな小さなマグナム80に一寸乗るだけで、こんなにも楽しさがこみ上げてくるなんて、想像だにしなかったのである。ホント、楽しい。
もしかしたら、終のバイクっていうと、原付二種クラスの2ストロークスポーツバイクになるのかな？という気がする。リッターバイクとか、重量車は風格、所有欲を満たしてくれるけど、アクセルを開けた瞬間に、思わずにやけるような感性を刺激する感覚は少ない。それに対して、2ストロークは、排気量問わずにアクセルを開けた瞬間に、笑みがこぼれるのである。これって、極めて重要。年老いて体力が奪われていくと、乗る事が出来る単車の重量、パワーというのは、ドンドン小さくなっていくのは間違いない。軽い車重、小さなパワーでも、乗っているとは笑って運転したいものである。パワーが無くても笑いながら運転出来るのは2ストロークバイクだ。幸い、2ストロークバイクは同クラス4ストロークバイクよりも圧倒的に軽量である。これは終のバイクを選ぶ時に大きなポイントである。最後に乗るバイク、恐らくだけど、2ストロークバイクだと思う。そして、排気量クラスは250ccとか400、500ccクラスではなく、125ccとか80ccといった小さなバイクになりそうだ。
それにしても、、、これから下駄として2ストロークエンジンに乗る機会が増えると思うと、、、最高だな。