グリルのメッキ、、、、
四輪車のデザインで定番的配色、、、それは、フロントグリルにメッキモールを配していること。モールだけでなく、グリルの細部をメッキにしているパターンも多い。
グリルだけでなく、ドアモール、ピラー等々、様々な加飾にメッキを用いているのであれば、違和感も少ないけど、グリル以外がブラックアウトされたようなデザインでありながら、グリルだけがメッキモール等で縁取りされているのは、冷静に見ると、その部分だけが大きく浮いているような風にも見える。
まぁ、フロントグリルにメーカーアイデンティティを強調するデザインを配して目立たせるというのであれば、メッキ加飾もアリなのかもしれないが、どうしても80年代以前の古い価値観に則っているような印象が強い。メーカーアイデンティティをグリルデザインの統一化に委ね、グリル造形を強調するためにメッキモールドを使うというのは如何にも古臭いような印象である。
このメッキグリルに共通性を持たせてイメージを統一するというのは、BMWやメルセデスを筆頭とする欧州車の多くに用いられた手法であるが、そのグリルというのは、元を辿れば、騎士の盾のデザインを取り入れたモノとも言われている。そういう生い立ちから、そのデザインを車の先端に取り入れるというのは理解出来なくもないけど、そのトレンドを追い掛けて来た国産ブランドにおけるグリルデザインの意味は果たして何なのだろうか？
フロントグリルを共通化している国産ブランドといえば、レクサス、マツダを思い浮かべることが出来るけど、これらのグリルというのは、そもそも、そのデザインは何を象徴するものなのかも、良く判らない。機能的に優れるとの説明を聞くこともあるけど、そのデザインを機能を満たす上での必要条件という訳でもない。そうなると、そんな説明は後付けにしか過ぎない。確かに、フロントグリルのデザインに共通性を持たせれば、一目見るだけで、ブランドが何処かっていうのが判るけど、逆に、グリルを見なければブランドが見えづらいというのであれば、それはモデル自体に一貫性が持たせ切れていないから、判りやすいグリルに頼っているだけのようにも見える。
グリルデザインに一貫性を持たせるために造形に共通性を持たせるというのは理解できなくもないけれど、そのグリル部分にメッキの加飾を加えて強調するというところまでは必要無いのではないかという気もする。
近年、評価の高いマツダ車だけれども、シグネチャーウイングと称するメッキモールドが果たして必要なのだろうか？第6世代、第7世代と言われているモデル群のデザインは確かにシンプルでカッコイイけれど、グリルのメッキモールだけが異様に浮いているように感じる事も少なくない。過去のモデルでスポーツカーというとグリルを有さない。それ故に、そのメッキ加飾は施されていないけど、歴代ロードスター、RX-7というモデルはメッキ加飾が無くても十分にマツダ車であることが伝わる。
現行のマツダデザインというと、引き算の美学なんて言っているけど、メッキ加飾ってのは、どう考えても引き算ではない。メッキ加飾されたフロントグリルの強調によってメーカー、ブランドを判らせているように見えなくもない。新しいラージ商品群のフロントフェンダーに用いられているバッチも加飾と言われているようだけど、それ以前にフロントグリルのメッキモールの派手な加飾は、加飾という名の通り、思いっ切り足し算による自己主張では無いだろうか？二代目のCX-5が登場して以降、どうも、このメッキモールの存在感が全体の中で大きく浮いているような印象である。デザインの評価の高いマツダ3も然りである。何故に、グリルのメッキモールがあれ程迄に太いのか、、、、実車を見る度に、そう思ってしまうのである。
正直、現行マツダ車のメッキモール部分をボディ同色でモールの存在感を消した方がデザイン的には遙かに洗練されて見えるように思う。最近のモデルではメッキを改めてブラックメッキのモデルも存在しているけど、あれは幾らかマシ。モールのデザインを残しておくのであれば、少なくともボディ同色の方が良いのでは無いだろうか？
フロントグリルには多くのブランドがメッキ加飾を用いているけど、メッキ加飾に頼らないデザイン、造形だけでメーカーのアイデンティティを表現し、全方位から一目見ただけでブランドが言い当てられるような、そんなデザインが与えられたモデルが登場しないものだろうか？
マツダ車で過去のモデルを振り返ってみると、セダンタイプでフロントグリルが存在しながらも、グリルを強調したモデルよりも、そうでないモデルのデザインの方がスマートなように感じる。
過去のモデルを振り返ると、カペラロータリーから、FRカペラ最終モデルのマイチェン後のモデルだったり、ルーチェロータリークーペの時代のフロントデザインだったりする。
グリルをメッキモールで強調するようなデザインではなく、フォルムで何処から見てもモデルとブランドを認識させるような、そんなデザインを見てみたいものである。